Arduino IDE 2のインストール方法、初期設定、使い方

バージョン2になってさらに使いやすくなった「Arduino」の統合開発環境「Arduino IDE 2」のインストール方法から初期設定、使い方まで詳しく紹介します。

「Arduino」とは、初心者の方でも簡単に扱えるように開発されたマイコンボードで「Arduino IDE 2」にはプログラム例が準備されているため、それを書き込むだけで色々なプログラムの動作を体験することができます。

一つ一つ画像を交えて紹介していますので、プログラム初心者の方でも以下の手順で進めていけば、インストールから動作確認まで進められると思います。
※2024/3/11 時点の情報です。今後のバージョンアップによっては手順が異なるかもしれません。また、OSはWindows10/11でのインストール方法となります。
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1.Arduino IDE 2とは

「Arduino IDE 2」とは誰でも簡単にプログラミング学習ができるように開発された、イタリア発祥のマイコンボード「Arduino」の開発環境で、無償でダウンロードすることができます。
「Arduino IDE」から「Arduino IDE 2」にバージョンアップしてより使いやすくなりました。

マイコンボードの「Arduino」にはたくさんの種類がありますが、代表的なものとしては下画像の「Arduino Uno」で、「Uno」をコンパクトにした「Arduino Nano」等があります。

Arduino Uno / Nano外観

複雑で専門的な知識を必要とするプログラムが「ライブラリ」としてまとめられており、直感的に理解しやすいコマンドで、この「ライブラリ」を使用することで、初心者でも簡単に複雑な動作を実現することができます。

「Arduino」のプログラミングを目的に開発されたものですが、操作性の高さや理解のしやすさ、情報量の多さから、「M5Stackシリーズ」や「Raspberry Pi Pico」等、他のマイコンボードのプログラミング環境としても使用されています。

プログラミング言語は「C言語」をベースにマイコンボードを制御するための「Arduino」独自のコマンドを使用して行います。マイコンボードを動かしながらプログラミングを進めることで「C言語」も自然に身につくため「C言語」の学習にも最適です。

C言語については以下のリンクで詳しく紹介しています。

C言語プログラミングの記事一覧
C言語のプログラミング記事一覧です。安価なマイコンボードを使用して動かしながら学んでみましょう♪ プログラム例を使って、コピペで書き込み、動作確認しながら少しづつ理解を深めましょう。

今回の動作確認にはArduinoの互換機を使用しています。「Arduino」はオープンソースで回路図や基板データが公開されているため、互換品がたくさんあります。
本家の「Arduino」は永久保証があったりして品質的には安心ですが、品質は気にせず自己責任で安価で遊びたい方は以下の互換機がおすすめです。
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2.Arduino IDE 2のインストールと初期設定

「Arduino IDE 2」のインストール方法と初期設定について詳しく紹介します。

・インストール

「Arduino IDE 2」のインストール方法は以下の手順になります。
まずは「Arduino IDE 2」のインストールファイルをダウンロードします。

以下のリンクへアクセスしてください。

Software
Open-source electronic prototyping platform enabling users to create interactive electronic objects.

下画像のようなページが表示されたら[ Downloads]の欄で、お使いのOSに合わせてダウンロードファイルを選択します。
Windows10/11の場合は[ Windows Win 10 and never, 64 bits ]をクリックしてください。

ArduinoIDE2インストール

無償でダウンローできますが寄付をしてダウンロードすることもできます。

無償でダウンロードする場合は「JUST DOWNLOAD」をクリックしてください。

上画像のように表示されたら再度「JUST DOWNLOAD」をクリックします。
(メールアドレスを入力してチェックボックスをクリックしておくとメルマガ的な登録もできます。)


ダウンロードが始まるので終わるまで待ちます。
ダウンロードが終わったらダウンロードしたファイルを開いてインストールしていきます。

お使いのOSによってファイルの開き方は異なります。
「Google chrome」と「Microsoft Edge」の場合はそれぞれ下画像のようになります。

Google Chromeの場合

Chromeの場合は右上でダウンロードの状況が確認できます。

ArduinoIDE2インストール

ダウンロードが完了したら下画像のように「開くアイコン」をクリックしてください。

ArduinoIDE2インストール

Microsoft Edgeの場合

Edgeの場合は右上でダウンロードの状況が確認できます。

ArduinoIDE2インストール

ダウンロードが完了したら下画像のように「ファイルを開く」をクリックしてください。

ArduinoIDE2インストール

ファイルの場所がわからなくなった場合、ファイルは「ダウンロード」フォルダにあります。
「ダウンロード」フォルダを開くと下画像のようにファイルがあるので、クリックして実行してください。

ArduinoIDE2インストール

インストール中には以下のような画面が表示されることがあるので、表示されたらその都度「はい」をクリックしてください。

ArduinoIDE2インストール

インストールが始まると下画像のようなウインドウが表示されるので、矢印部をクリックしていってください。

ArduinoIDE2インストール

ライセンスを確認し問題なければ[同意する]をクリックします。

ArduinoIDE2インストール

上画像のように「すべてのユーザー」にもインストール可能です。必要なければそのまま[次へ]をクリックします。

ArduinoIDE2インストール

すでに旧バージョンがインストール済みでも上記のようにアンインストールする必要は無いようです。そのまま[次へ]をクリックしましょう。

ArduinoIDE2インストール

上画像のウインドウで保存場所を指定できますが、特にこだわりがなければ、そのまま[インストール]をクリックしましょう。

ArduinoIDE2インストール

インストールが始まるので終わるまで待ちましょう。

ArduinoIDE2インストール

インストールが完了しました。[完了]をクリックすると「Arduino IDE」が起動します。

ArduinoIDE2インストール

デスクトップには上画像のようなアイコンができているので、次回からこれをクリックで起動できます。

ArduinoIDE2インストール

「Arduino IDE」が起動すると上画像のような表示になるので、立ち上がるまでしばらく待ちます。

初回起動時には以下のように「ドライバ」のインストールがいくつかあります。
いくつあるかは環境によると思いますが、全てインストールしておきましょう。

ArduinoIDE2インストール
ArduinoIDE2インストール
ArduinoIDE2インストール
ArduinoIDE2インストール

起動すると以下のような画面が表示されます。
起動時には画面右下に通知が表示されます。アップデート情報が表示されている場合は[全てをインストール]をクリックしてインストールしておきましょう。

ArduinoIDE2インストール

以上で「Arduino IDE 2」のインストールは完了です。

・初期設定(日本語化、配色テーマ設定等)

私の環境では初めから日本語で使用できましたが、日本語でない場合は「基本設定(Preferences)」の画面で変更することができます。
「基本設定」では他にも「エディターの配色」や「コンパイル時の詳細情報表示設定」をすることができるため、基本的な設定方法を紹介します。

日本語化

設定画面は以下のように開くことができます。

ArduinoIDE2の初期設定

英語の場合は[File]→[Preferences]をクリックします。

ArduinoIDE2の初期設定

日本語の場合は[ファイル]→[基本設定]をクリックします。

英語の場合は以下のような設定画面のウインドウが表示されるので「Language:」から「日本語」を選択して[OK]ボタンをクリックすると日本語表示になります。

ArduinoIDE2の初期設定

配色テーマ設定

配色テーマは4つの中から下画像のように選択できます。

ArduinoIDE2の初期設定

配色テーマ「Dark」を選択すると下画像のようになります。
個人的にはこれが見やすくて使いやすいので、自分の環境はこれにしています。

ArduinoIDE2の初期設定

コンパイル、書き込み詳細情報表示

プログラムを変換する「コンパイル」時にエラーの詳細が確認できるため、以下のようにチェックをして「コンパイル」の詳細情報を表示しておくのがおすすめです。

ArduinoIDE2の初期設定
コンパイル時に、たまに固まって動いていないのか、時間がかかってるだけなのか、わからない時がありますが詳細表示しておくと進捗が表示されるため、進んでいるかどうかの確認にもなります。
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3.Arduino IDE 2の起動と画面詳細

「Arduino IDE 2」の起動と画面の詳細について紹介します。

デスクトップにある以下のアイコンをクリックして「Arduino IDE 2」を起動してください。

ArduinoIDE2インストール

以下のような画面が表示されるので起動するまでしばらく待ちます。

ArduinoIDE2インストール

しばらくすると下画像のようなウインドウが立ち上がります。
これが「Arduino IDE 2」のプログラム(スケッチ)作成画面です。

「Arduino」では「プログラム」のことを「スケッチ」と呼びます。
これには「キャンバスに自由に絵を描く(スケッチする)ようにプログラムを作成して欲しい」という開発者の思いが込められています。
ArduinoIDE画面機能紹介

「Arduino IDE 2」の画面の機能について、上画像の番号ごとに紹介します。

 ①検証:作成したスケッチにエラーが無いかを確認します。
 ②書き込み:作成したスケッチをマイコンボードに書き込みます。
 ③デバッグ:ブレークポイントを設定してステップ実行等デバッグ動作を実行します。
       ※デバッグ対応ボードのみ実行可能です。
 ④ボード名表示:選択しているボード名が表示されます。
 ⑤シリアルプロッタ:シリアル出力した数値データを自動でグラフ表示してくれます。
 ⑥シリアルモニタ:マイコンボードと通信して、取得した情報を表示したり
          データを送信したりする、シリアルモニタ画面を起動します。
 ⑦スケッチ(プログラム)作成エリア:ここでスケッチの作成を行います。
 ⑧情報表示エリア:コンパイルや書込み時の進み具合やエラー情報等が表示されます。
  ※コンパイルとは作成したプログラムをマイコンボードに書き込める形式に変換する作業です。
 ⑨情報表示エリアの表示/非表示:クリックするごとに⑧部の表示と非表示が切り換えられます。
 ⑩ボード接続情報:接続しているボード名と通信COM番号が表示されます。
 11 通知:書き込みの完了やインストール終了、ライブラリのバージョンアップ等の通知が確認できます。


画面左にあるアイコンについては以下のような機能があります。

ArduinoIDE2の使い方

一番上のアイコンは[スケッチブック]です。
作成したスケッチが保存されているフォルダ内のファイルが一覧で表示されます。

ArduinoIDE2の使い方

2番目のアイコンは[ボードマネージャ]です。
使用するデバイスに必要な基本ファイルを検索して、インストールすることができます。

ArduinoIDE2の使い方

3番目のアイコンは[ライブラリマネージャ]です。
複雑な機能を簡単に使用するための便利な「ライブラリ」や、デバイス固有の「ライブラリ」を検索してインストールすることができます。

ArduinoIDE2の使い方

4番目のアイコンは[デバッグ]です。
「デバッグ」機能のあるデバイスでのみ使用可能で、スケッチ内にブレークポイントを設定したり、1ステップ(1行)ごとにプログラムを実行して、内部の変数の値等を確認しながら動作確認ができます。

ArduinoIDE2の使い方

一番下のアイコンは[検索]です。
現在開いているプログラム内でキーワードを入力して検索することができます。

4.ボード情報の追加

「Arduino IDE 2」はたくさんのマイコンボードに対応していますが、使用するには[ボードマネージャ]からボードの追加を行う必要があります。

「Arduino」シリーズの場合は不要な場合もありますが、以下のように[ボードマネージャ]のアイコンをクリックして「Arduino AVR Boards」がインストールできる状態であれば[インストール]をクリックしてインストールしておきましょう。

ArduinoIDEの使い方

インストールが完了すると、下画像のように画面右下に通知が表示されます。

ArduinoIDEの使い方

インストールが完了したら[ツール]→[ボード]→[Arduino AVR Boards]を選択するとArduinoのボード一覧が表示されるので、使用したいボードを選択します。

ArduinoIDEの使い方
ボード一覧に使用したいボードが見つからない場合は「ボードマネージャ」の「検索をフィルタ」部にボード名を入力して検索してインストールしてください。
「M5Stackシリーズ」や「Raspberry Pi Pico」のボード情報を表示させる方法も下の「9.他のマイコンボードでの使用方法」で紹介しています。

5.ボードの接続

使用するマイコンボードの選択が完了したら、マイコンボードを接続しますが、プログラムを書き込むためには「USBポートの番号」を選択する必要があるため「ポート」の選択方法からボードの接続方法まで以下から紹介します。

・USB接続ポートの選択

まずは、何も接続しない状態で[ツール]→[ポート]をクリックしてください。
すると下画像のように現在使用できる「シリアルポート(COM番号)」の一覧が表示されるのでこれを覚えておきましょう。

ArduinoIDEの使い方

次に使用するマイコンボードを接続して、もう一度[ツール]→[ポート]をクリックしてください。

ArduinoIDEの使い方

すると、先ほど表示された「シリアルポート」の一覧から「COM番号」が増えています(上画像の場合はCOM9)。これが接続したマイコンボードの「COM番号」になるため、これを選択します。

実際にマイコンボードを接続すると「COM番号」の横にマイコンボード名が表示される場合もあります。自動認識されて表示されるものですが、正確に認識されないこともあります。
違っていても特に気にしなくても良いので、ボードを接続して追加された「COM番号」を選択しましょう。

・Arduio Uno(互換機)を接続

実際に「Arduino Uno」を接続した場合は以下のようになりました。
[ツール]→[ポート]から「COM番号」の選択ができますが、下画像のように[ボード選択]のドロップダウンリストからも選択することもできます。

ArduinoIDEの使い方

手持ちの「Arduino Uno」は互換機ですが、自動認識されて「Arduino Uno」と表示され選択できる状態になっていました。

自動認識されない場合は「不明」と表示されますが、気にせずボードを接続した時に追加される「COM番号」を選択しましょう。

・Arduino Nano(互換機)を接続

「Arduino Nano」を接続した様子は以下のようになりました。
下画像のように[ボード選択]のドロップダウンリストで確認すると「不明」と表示されています。

ArduinoIDEの使い方

「不明」をクリックすると下画像のようなウインドウが表示されるので、検索欄にボード名を入力してボードを選択後に[OK]ボタンを押すことでも設定できます。

ArduinoIDEの使い方

上画像のように設定もできますが、ボードの設定は下画像のように[ツール]→[ボード]→[Arduino AVR Boards]から設定した方が、リストから選択できるので、こちらから選択した方が良いと思います。

ArduinoIDEの使い方
「Arduino IDE 2」にはボードの自動認識機能がありますが、違うボード名が表示される場合もあるため、「ボードの選択」や「ポートの設定」はメニューの[ツール]から選択するようにした方が良いと思います。

6.動作確認

ボードの接続が完了したらプログラム(スケッチ)の書き込みを行ってみましょう。

・スケッチ例の書き込み

「Arduino IDE 2」にはサンプルプログラムとして「スケッチ例」が準備されています。

今回は基本的な「Lチカ(LEDを点灯/消灯させる)」動作が確認できるスケッチ例「Blink」を書き込んで動作確認を行っていきます。
「スケッチ例」を読み込むには下画像のように[ファイル]→[スケッチ例]→[01.Basics]→[Blink]をクリックします。

ArduinoIDEの使い方

「スケッチ例」を選択すると下画像のように、新しく「Arduino IDE 2」が起動してスケッチ例「Blink.ino」が表示されます。

ArduinoIDEの使い方

「スケッチ例」が表示されたら、「ボード選択」と「ポート選択」が完了していればそのまま書き込みできるので、下画像のように[→]アイコンをクリックすると書き込みが開始されます。

ArduinoIDEの使い方

下画像のように「通知」部に「書き込み完了」が表示されたら書き込み完了です。

ArduinoIDEの使い方

・Lチカ

実際に書き込んで動作確認を行うと下画像のようにマイコンボード上のLEDが1秒ごとに点滅する「Lチカ」動作が確認できます。

Arduino Uno(互換機)

Arduino Uno Lチカ動作確認

Arduino Nano(互換機)

Arduino Nano Lチカ動作確認
動作確認に使用したものはArduinoの互換機です。Arduinoはオープンソースで回路図や基盤データが公開されているため、互換品がたくさんあります。
本家のArduinoは永久保証があるので品質的には安心ですが、品質は気にせず自己責任で安価で遊びたい方は以下の互換機がおすすめです。

以下の「Arduino Nano」はUSBコネクタが「miniB」タイプです。ケーブルは付属しないので別途準備する必要があります。(USB Type-C仕様のものもあるのでご注意ください。)

7.便利なライブラリのインストール

「Arduino」でプログラムを作成する時に「ライブラリ」を使用することで複雑な動作も簡単に実現することができます。

この「ライブラリ」のインストール方法を下画像のような「有機ELディスプレイ(OLED表示器:SSD1306)」表示用のライブラリをインストールする方法を例に紹介します。

OLED表示器を使用するプログラムはとても複雑ですが、ライブラリを使用することで簡単に制御することができるようになります。

Arduino Uno SSD1306の使い方
OLED表示器には文字や数値を表示することができ「Arduino」の内部状態や、センサで取得した値等を表示して確認することができるようになります。

・ライブラリのインストール方法

ライブラリをインストールするには、下画像のように[ライブラリマネージャー]アイコンをクリックして、検索欄にライブラリ名を入力します。
今回は「adafruit ssd1306」を入力しています。「Adafruit SSD1306」が表示されるので[インストール]ボタンをクリックします。

Arduino IDE 2ライブラリの使い方

[インストール]ボタンをクリックすると、以下のように関連するライブラリがある場合は一緒にインストールするかどうかを聞いてくるので、この場合は[全てをインストール]をクリックしておきましょう。

Arduino IDE 2ライブラリの使い方

下画像のように「通知」部にインストールの成功が表示されたらインストール完了です。

Arduino IDE 2ライブラリの使い方

ライブラリをインストールしたらスケッチ例も追加されているので、OLED表示器SSD1306のスケッチ例を以下のように[ファイル]→[スケッチ例]→[Adafruit SSD1306]→[ssd1306_128x64_i2c]をクリックして読み込みます。

Arduino IDE 2ライブラリの使い方

新しく「Aruduino IDE 2」が起動し、下画像のように表示されたら「35行目」の「0x3D」を「0x3C」に書き換えます。

ここは「I2C通信」のアドレスを指定しますが、おそらく現在販売されているものは「0x3C」と思います。
これはOLED基板上の抵抗の位置で決まります。私の手持ちのものは全て「0x3C」でした。
もし動かない場合は「0x3D」にしてご確認ください。
Arduino IDE 2ライブラリの使い方

最後に下画像のように[→]アイコンをクリックして書き込みを行います。
書き込みが完了すると、OLED表示器に色々な図形が描かれるデモ画面が表示されます。

Arduino IDE 2ライブラリの使い方

SSD1306の「I2Cアドレス」について

SSD1306の基板裏には下画像のように抵抗がついています。

OLED液晶SSD1306アドレス

この抵抗の取り付け位置によって以下表のようにスレーブアドレスが選択できます。

はんだ付け位置I2C通信スレーブアドレス
0x780X3C
0x7A0x3D

はんだ付け位置に表示されている内容とアドレスが同じだとわかりやすいのですが、違う表示になっています。これは表示されているものがスレーブアドレスレジスタ(8bit)の16進数表記のためです。

詳細は以下のリンクで詳しく紹介しています。

SSD1306有機ELディスプレイOLEDの使い方、簡単2画面表示の方法も紹介
SSD1306はライブラリを準備してI2C通信と簡単なコマンドで表示可能。ATOM LITEやESP32、Arduino等に表示器を追加したい時に手軽に安価で実現できるのでとても便利です。

・OLED表示器 SSD1306で動作確認

「Arduino Uno」を使用して、OLED表示器SSD1306のスケッチ例の動作確認を行います。
OLED表示器は「SSD1306(128 x 64 I2C通信仕様)」を使用します。

配線図

配線図は下画像のようになります。

Arduino Uno SSD1306の使い方
高さサイズが半分のOLED表示器「SSD1306(128 x 32 I2C通信仕様)」でも同じ配線で使用できます。
「128 x 32 I2C通信仕様」の「スケッチ例」を書き込めば同様に動作確認できます。

動作確認

実際に「Arduino Uno」に「SSD1306」を接続して動作確認したものは下画像になります。

Arduino Uno SSD1306の使い方

「スケッチ例」を書き込むと以下のように文字や図形が順番に表示されるデモ画面が表示されます。

Arduino Uno SSD1306の使い方

8.エディタの便利な使い方

「Arduio IDE 2」はプログラム(スケッチ)を作成するエディタ機能も豊富でショートカットキーを使うとプログラム効率がかなり良くなります。

プログラムエディタとして定番の「VSCode」と同じシュートカットキーが使えるので、便利な機能を以下から紹介します。

・単語の一括選択、編集

単語を選択するときに、単語の上でダブルクリックすると単語全体が選択されるのは一般的な機能で「Arduino IDE 2」でもこの機能が使えます。

ArduinoIDEの使い方

さらに選択した単語を複数選択して、削除や書き換え等を一括で編集したい時は[Ctrl]を押しながら[D]を押していくと、押すごとに選択した単語が選択されていきます。

ArduinoIDEの使い方

複数選択された状態で削除すると同時に全てが削除され、カーソルを動かすと複数箇所のカーソルが同時に動き、入力した文字はすべてのカーソル部に入力されていきます。

以下は「Arduino」の本体LEDを表す「LED_BUILLTIN」を端子番号13(LEDの端子番号)に変更した様子です。
他の端子でLEDを点滅させるよう変更する場合にも、複数選択して一括編集すれば編集時間を短縮し、また変更忘れ等の間違いも少なくすることができます。

ArduinoIDEの使い方

・変数、関数の詳細表示

プログラム内のオレンジで表示されている単語は「関数」名です。
関数は複雑な動作をまとめておき、呼び出して使うもので関数名に続けてカッコ書きで引数を指定して使用します。

この関数の上にマウスのカーソルを合わせると下画像のように、関数の詳細が表示され、引数に何をどの型で指定するのかが分かります。

ArduinoIDEの使い方

「pinMode」関数は端子の入出力を設定する関数です。詳細を確認すると端子(pin)番号と入出力の指定(mode)を設定して使用することが分かります。

ArduinoIDEの使い方

「digitalWrite」関数は出力端子の状態を設定する関数です。詳細を確認すると端子(pin)番号と出力の値(val)を設定して使用することが分かります。

ArduinoIDEの使い方

関数だけでなく、プログラム内の「マクロ」や「変数」上にカーソルを置いても詳細が確認できます。
上画像ではマクロ「LED _BUILTIN」上にカーソルを置くと「LED _BUILTIN」は「13」と同じ意味を持つことが分かります。

ArduinoIDEの使い方

関数上にカーソルを置いて、さらに[Ctrl]を押すと文字色が青に変わって、リンクとしてクリックできるようになります。
これをクリックすると関数のファイルが開き、より詳細が確認できるようになります。

関数上にカーソルを置いて[Ctrl]を押して表示されたリンクをクリックすると、下画像のようにファイルが開いて詳細が確認できます。

ArduinoIDEの使い方

「pinMode」関数は「wiring_digital.c」ファイル内に書かれており、端子番号(pin)の状態を取得して入出力状態(mode)に設定した「INPUT/INPUT _PULLUP(他にもINPUT_PULLDOWN/OUTPUTがある)」によって処理を分岐しているのが確認できます。

ArduinoIDEの使い方

「digitalWrite」関数も「wiring_digital.c」ファイル内に書かれており、端子番号(pin)の状態を取得して、出力の値(val)に設定が「LOWか、それ以外(通常はHIGHを指定)」によって処理を分岐しているのが確認できます。

関数の内容を理解するのは最初は大変ですがたまに覗いて、推測でもいいので考えながら動作確認して、少しづつ慣れていきましょう。

・行のコピー、削除、上下移動、コメント化

行のコピー、削除

行を1行全部コピーする時は、行全体を選択したくなりますが、その必要はありません。
行のどこでもいいのでカーソルを置いて[Ctrl]+[C]を押すとカーソルのある行全体がコピーされます。

貼り付けは[Ctrl]+[V]でカーソルのある行に行われ、自動で改行もされるため、いちいち改行して貼り付ける手間もありません。

また、行を一括で削除したいときは削除したい行にカーソルを置いて[Ctrl]+[X]で切り取ると簡単です。

上下移動

行を上下に移動したいときは、移動したい行にカーソルを置いて[Alt]+[上下ボタン]で移動できます。
関数等をまとめて選択しておくと、選択した行全てを上下移動することができます。

行を入れ替えたり、関数内に行を移動したい時に便利です。

コメント化

プログラム内の行で「// 」が書かれた以降はコメントになり処理が実行されません。
コメントを書くことで、プログラムの内容が理解しやすくなり、間違いが少なくなります。

また、テスト用のプログラムや一時的に実行したくないプログラムもコメント化して残しておくと、コメントを解除すればすぐに使用できるので便利です。

コメント化する方法は、コメント化したい行にカーソルを置いて[Ctrl]+[ / ]を押すと、その行がコメント化されます。
行を複数選択して[Ctrl]+[ / ]を押すと選択した行全てがコメント化されます。

コメントを解除するときは同様に[Ctrl]+[ / ]で解除できます。

9.他のマイコンボードでの使用方法

「Arduino IDE 2」は豊富な機能や使いやすさ、情報量の多さから他のマイコンボードの開発環境としても使われます。

代表的なものとしては下画像のような「Raspberry Pi Pico」や「M5Stackシリーズ」があるので、これらの使用方法も紹介します。

Arduino IDE 2使用可能なマイコンボード

「Raspberry Pi Pico」や「M5Stackシリーズ」については以下のリンクで詳しく紹介しています。

ラズパイPico/PicoWの使い方を3つの開発環境Python、ArduinoIDE、PlatformIOで紹介
Raspberry Pi Pico/Pico Wの使い方を端子配列からPython(MicroPython)とC言語の開発環境、Lチカ方法まで紹介。PythonはTonny、C言語はArduinoIDEとPlatformIOの3種類で詳しく紹介します。
M5Stack Basicの使い方、端子配列、サンプルプログラムで詳しく紹介
基本仕様、端子配列、サンプルプログラムで「Lチカ」やアナログ入力(ADC)、アナログ出力(DAC)、シリアル通信(UART)、液晶表示、バッテリー残量表示等の基本的な動作まで詳しく紹介します。
M5StickC Plus2の使い方、初期設定、旧モデルとの違い等サンプルプログラムで詳しく紹介
M5StickCの最新版M5StickC Plus2について、旧モデルとの違いを確認しながら、初期設定や端子配列、機能、使い方をサンプルプログラムで詳しく紹介します。

これらを使用するには、以下のように「基本設定」から「ボードマネージャ」の追加を行う必要があるため、まずは下画像のように[ファイル]→[基本設定]をクリックします。

ArduinoIDE2の初期設定

・M5Stackシリーズ

「M5Stackシリーズ」のマイコンボードを使用するには、下画像のように「基本設定」ウインドウの[追加のボードマネージャのURL:]欄に以下のURLをコピーして貼り付けて[OK]ボタンをクリックします。

https://m5stack.oss-cn-shenzhen.aliyuncs.com/resource/arduino/package_m5stack_index.json
ArduinoIDE2でM5Stackの初期設定

[OK]をクリックするとデータの更新が始まり、画面右下に下画像のように表示されるので終わるまでしばらく待ちましょう。

ArduinoIDE2でM5Stackの初期設定

情報の更新が完了したら、次に「M5Stackシリーズ」のマイコンボードが選択できるように「ボード情報」の追加を行います。

[ボードマネージャ]アイコンをクリックして「ボードマネージャ」を表示させたら検索窓に「M5」を入力すると下画像のように「M5Stack」が表示されるので[インストール]をクリックします。

ArduinoIDE2でM5Stackの初期設定


ボードのインストールが完了したら、下画像のように[ツール]→[ボード]と選択すると[M5Stack]が選択でき「M5Stackシリーズ」のマイコンボードが選択できるようになります。

ArduinoIDE2でM5Stackの初期設定
以上で「M5Stack」のマイコンボードを選択して使用することができますが、ほとんどの場合、別途「ライブラリ」のインストールを行う必要があるので、使用デバイスに合わせてライブラリをインストールしてから使用します。

「Arduino IDE 2」を使用して「M5Stackシリーズ」のマイコンボードを使用する方法は、以下のリンクで詳しく紹介しています。

M5StackシリーズのためのArduino IDEのインストール方法と初期設定、使い方紹介
ArduinoIDEバージョン2のインストール方法から初期設定、スケッチ例の書き込み、コピペでの使い方まで詳しく紹介します。インストールはArduinoでも同じです。

・Raspberry Pi Pico

「Raspberry Pi Pico」だけを使用する場合は、初期状態でインストールできる下画像のボード「Arduino Mbed OS RP2040 Boards」をインストールすれば使用可能ですが「Raspberry Pi PicoW」は使用できません。

Arduino IDE 2でラズパイPicoの使い方

「Raspberry Pi PicoW」も使用する場合はボードの追加が必要なため「基本設定」ウインドウの[追加のボードマネージャのURL:]欄に以下のURLをコピーして貼り付ける必要があります。

https://github.com/earlephilhower/arduino-pico/releases/download/global/package_rp2040_index.json

[追加のボードマネージャのURL:]欄が空白ならそのまま貼り付けますが、すでに他のURLが貼り付けられている場合は下画像矢印部のアイコンをクリックします。

Arduino IDE 2でラズパイPicoの使い方

以下のようなウインドウが表示されたら下画像のようにURLを貼り付けて[OK]ボタンをクリックします。

Arduino IDE 2でラズパイPicoの使い方

下画像のように[ボードマネージャ]アイコンをクリックして「検索フィルタ」に「raspberry」と入力すると下画像のように[Raspberry Pi Pico/RP2040]が表示されるので、これをインストールします。

Arduino IDE 2でラズパイPicoの使い方

インストール完了後に下画像のように[ツール]→[ボード]→[Raspberry Pi Pico/RP2040]をクリックすると「Raspberry Pi PicoW」を含め複数のRP2040搭載ボードが表示されます。
ここでは「Raspberry Pi PicoW」を選択します。

Arduino IDE 2でラズパイPicoの使い方

次に「ラズパイ」とボードを接続しますが「BOOTSELボタン」を押しながら接続する必要はありません。そのまま接続します。

初回接続時はポートが認識されませんが、気にせず[書き込み]ボタンをクリックしましょう。次回からはポートが認識されるようになるので、認識したポートを選択します。

下画像では「スケッチ例」の「Blink」を書き込んでいます。

Arduino IDE 2でラズパイPicoの使い方

書き込みを実行すると、ポートの設定も開始され、パソコン画面右下に以下のような表示が出るはずです。少し時間がかかるかもしれませんが、気長に待ちましょう。

Arduino IDE 2でラズパイPicoの使い方
Arduino IDE 2でラズパイPicoの使い方

以下のように[通知]部に「書き込み完了」が表示されれば書き込み完了です。

Arduino IDE 2でラズパイPicoの使い方
「スケッチ例」の「Blink」を書き込んだ場合は、本体LED(緑)が点滅しているのが確認できると思います。

前のバージョンですが「Arduino IDE」を使用して「Raspberry Pi Pico」を使用する方法は、以下のリンクで詳しく紹介しています。

ラズパイPico/Pico2/PicoWのArduinoIDE2のインストール方法や使い方紹介
Raspberry Pi Pico/Pico2/PicoWのC言語での開発環境 ArduinoIDE2のインストールから初期設定、使い方、Lチカで動作確認まで詳しく紹介

10.まとめ

「Arduino IDE 2」のインストール方法から初期設定、使い方まで詳しく紹介しました。

「Arduino IDE」は初心者の方でも簡単に扱えるように開発されたマイコンボード「Arduino」でプログラム開発を行うための統合開発環境です。

複雑で専門的な知識を必要とするプログラムが「ライブラリ」としてまとめられており、直感的に理解しやすいコマンドで、この「ライブラリ」を使用することで、初心者でも簡単に複雑な動作を実現することができます。

扱いやすく情報量も多いため、人気の開発環境ですが、バージョン2になってさらに使いやすくなりました。
特にエディタ機能に関しては「VSCode」と同じように、複数単語の同時選択&編集ができ、コピペや行入れ替え、コメント化等のショートカットキーが使えてかなり便利になりました。

「Arduino」のプログラミングを目的に開発されたものですが、操作性の高さや理解のしやすさ、情報量の多さから、「M5Stackシリーズ」や「Raspberry Pi Pico」等、他のマイコンボードのプログラミング環境としても使用されています。

「Arduino IDE 2」を使用することで多くのマイコンボードの開発環境を手軽に手に入れることができます。難しいことは抜きにして、まずは「Lチカ(LEDを点灯/消灯させる)」からプログラミングを始めてみましょう^^

M5StackシリーズのためのArduino IDEのインストール方法と初期設定、使い方紹介
ArduinoIDEバージョン2のインストール方法から初期設定、スケッチ例の書き込み、コピペでの使い方まで詳しく紹介します。インストールはArduinoでも同じです。
ラズパイPico/Pico2/PicoWのArduinoIDE2のインストール方法や使い方紹介
Raspberry Pi Pico/Pico2/PicoWのC言語での開発環境 ArduinoIDE2のインストールから初期設定、使い方、Lチカで動作確認まで詳しく紹介

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