「ATOM LITE」を例に自宅のWiFiローカル通信環境に接続して、スマホ等からWiFi通信で遠隔操作を行う方法を紹介します。
「ATOM LITE」については以下のリンクで詳しく紹介しています。

「ATOM LITE」をWiFiアクセスポイントにして遠隔操作する方法は以下のリンクで詳しく紹介しています。

JavaScriptの「fetch」を使用してページを更新しない実用的なWiFi遠隔操作方法は以下リンクで詳しく紹介しています。

1.サンプルプログラムの動作紹介(ATOM LITE)
サンプルプログラムの動作について紹介します。
自宅のWiFiルータの設定に合わせてプログラム内で「SSID」と「パスワード」を設定します。
・SSID:自宅のWiFi接続先名
・パスワード:接続先のパスワード
WiFiルータとの接続が完了すると「IPアドレス」が自動で取得されます。 設定した「SSID」や「パスワード」、「IPアドレス」はシリアル出力モニタを使用することでパソコンの画面上で確認することができます。
※表示されない場合は「ATOM LITE」側面の小さいリセットボタンを押すと表示されます。
「シリアル出力モニタ」については以下のリンクで詳しく紹介しています。

次に何でもよいのでネットを見るのに使っているブラウザを立ち上げて、アドレスバーに「IPアドレス」を入力してエンター等確定ボタンを押すと、以下のような画面が表示されます。(下画像はGoogle Chromeです。)

これは「ATOM LITE」をサーバーとして設定おり、ブラウザからのリクエスト(要求)に対して「ATOM LITE」側からレスポンス(応答)として「htmlデータ」が送信され、ブラウザ側で表示されたためです。
「ON」「OFF」ボタンにもリクエストとしてアドレスが設定されており、ボタンが押されることでこのアドレスがリクエストとして送信されます。
「ATOM LITE」側はこれをうけて、それぞれに対応したプログラムを実行し完了するごとに設定したレスポンスを返します。
これにより「ON」ボタンを押すと「ATOM LITE」本体のLEDが青色に「OFF」を押すとLEDは白色に変わる動作が行えるようになっています。
出力端子21も同時にON/OFFさせているため、LED等を接続すると連動してON/OFFさせることができます。
2.プログラムの書込み(コピペ)
下のコードを「コピペ」して書き込んで動作確認してみましょう。
※コピーは下コード(黒枠)内の右上角にある小さなアイコンのクリックでもできます。
#include <M5Atom.h>
#include <WiFi.h> //WiFi接続用
#include <WebServer.h> //サーバー設定用
// WiFiローカル接続先設定
const char ssid[] = "自宅のWiFi接続先を記入"; //接続先SSID
const char pass[] = "接続先のパスワードを記入"; //接続先パスワード
// サーバー設定ポート80で接続
WebServer server(80);
// htmlメイン画面データ(「"」は「\"」に置き換え、htmlの改行は「\n」、コードの改行は「\」)
char html[] = "\
<!DOCTYPE html><html lang=\"jp\"><head>\n\
<meta charset=\"UTF-8\"><meta name=\"viewport\" content=\"width=device-width, initial-scale=1.0\">\n\
<title>REMOTE-SWITCH</title>\n\
</head><body>\n\
<h1>REMOTE-SWITCH</h1>\n\
<div>\n\
<button style=\"height:50px\" onclick=\"location.href='/get/btn_on'\"> ON </button>\n\
<button style=\"height:50px\" onclick=\"location.href='/get/btn_off'\"> OFF </button>\n\
</div>\n\
</body></html>\n";
// FastLED(CRGB構造体)設定
CRGB dispColor(uint8_t r, uint8_t g, uint8_t b) {
return (CRGB)((r << 16) | (g << 8) | b);
}
//-------------------------------------------------
// サーバーリクエスト時処理関数
//-------------------------------------------------
// ルートアクセス時の応答関数
void handleRoot() {
server.send(200, "text/html", html); //レスポンス200を返しhtml送信
}
// エラー(Webページが見つからない)時の応答関数
void handleNotFound() {
server.send(404, "text/plain", "404 Not Found!"); //text送信
}
// ブラウザONボタン処理
void btnOn() {
digitalWrite(21, HIGH); //出力0 ON(青色LED)
M5.dis.drawpix(0, dispColor(0, 0, 200)); //本体LED(青)
server.send(200, "text/html", html); //レスポンス200を返しhtml送信
}
// ブラウザOFFボタン処理
void btnOff() {
digitalWrite(21, LOW); //出力0 OFF(青色LED)
M5.dis.drawpix(0, dispColor(20, 20, 20)); //本体LED(白)
server.send(200, "text/html", html); //レスポンス200を返しhtml送信
}
//-------------------------------------------------
// 初期設定
//-------------------------------------------------
void setup() {
M5.begin(true, false, true); //Serial,POWER,LED
Serial.begin(9600); //標準のシリアル通信設定
// WiFi接続開始
WiFi.begin(ssid, pass); //ローカル接続開始
// WiFi接続完了待ち
while (WiFi.status() != WL_CONNECTED) { //接続完了するまで繰り返す
delay(500); //0.5秒待機
Serial.print("."); //「.」シリアル出力
}
// サーバー設定
server.on("/", handleRoot); //ルートアクセス時の応答関数を設定
server.onNotFound(handleNotFound); //Webページが見つからない時の応答関数を設定
server.on("/get/btn_on", btnOn); //ボタンオン受信処理
server.on("/get/btn_off", btnOff); //ボタンオフ受信処理
server.begin(); //Webサーバー開始
// シリアル出力
Serial.printf("\nSSID:%s\n", ssid);//SSID
Serial.printf("PASS:%s\n", pass); //PASSWORD
Serial.print("IP address: ");
Serial.println(WiFi.localIP()); //IPアドレス(配列)
// 本体LED設定
M5.dis.drawpix(0, dispColor(20, 20, 20)); //LED点灯(白)
// 入出力端子設定
pinMode(21, OUTPUT); //出力端子
}
//-------------------------------------------------
// メイン
//-------------------------------------------------
void loop() {
server.handleClient(); //クライアントからのアクセス確認
delay(200); //遅延時間(ms)
}
3.ローカル接続設定プログラムについて
ローカル接続設定をするプログラムについて紹介します。
まず上コードの2行目のように以下のWiFi接続に必要なヘッダーファイル「WiFi.h」を準備します。
#include <WiFi.h> //WiFi接続用
ローカル接続の設定を行うために、5行目~7行目のように接続先のWiFiルータの「SSID」と「パスワード」の設定を行います。
// WiFiローカル接続先設定
const char ssid[] = "自宅のWiFi接続先を記入"; //接続先SSID
const char pass[] = "接続先のパスワードを記入"; //接続先パスワード
次に58行目~59行目のように初期設定(void setup)の中で以下のように設定することでローカル接続が開始されます。
// WiFi接続開始
WiFi.begin(ssid, pass); //ローカル接続開始
次に62行目~65行目のようにローカル接続が完了するまでC言語の「while文」を使用して待ちます。
WiFi.status()は通信状態の情報を返します。これが「WL_CONNECTED(接続完了)」になるまで0.5秒ごとに「.」をシリアル出力モニタに表示し続けます。
// WiFi接続完了待ち
while (WiFi.status() != WL_CONNECTED) { //接続完了するまで繰り返す
delay(500); //0.5秒待機
Serial.print("."); //「.」シリアル出力
}
「WL_CONNECTED(接続完了)」になればローカル接続は完了です。
4.サーバー設定プログラムについて
「ATOM LITE」をサーバーとして設定するプログラムについて紹介します。
まず3行目のように以下のWiFi接続に必要なヘッダーファイル「WebServer.h」を準備します。
#include <WebServer.h> //サーバー設定用
次に10行目のようにサーバーのポート設定を行います。
一般的に「80」が使用されるので以下のように「80」で設定しましょう。
// サーバー設定ポート80で接続
WebServer server(80);
次に12行目~22行目のようにブラウザで表示させたい「htmlデータ」を文字列で以下のように準備します。
// htmlメイン画面データ(「"」は「\"」に置き換え、htmlの改行は「\n」、コードの改行は「\」)
char html[] = "\
<!DOCTYPE html><html lang=\"jp\"><head>\n\
<meta charset=\"UTF-8\"><meta name=\"viewport\" content=\"width=device-width, initial-scale=1.0\">\n\
<title>REMOTE-SWITCH</title>\n\
</head><body>\n\
<h1>REMOTE-SWITCH</h1>\n\
<div>\n\
<button style=\"height:50px\" onclick=\"location.href='/get/btn_on'\"> ON </button>\n\
<button style=\"height:50px\" onclick=\"location.href='/get/btn_off'\"> OFF </button>\n\
</div>\n\
</body></html>\n";
今回の「htmlデータ」は「REMOTE-SWITCH」という表示と「ON」「OFF」ボタンを置いただけのシンプルなものです。
ボタンには「onclick」でリンク先のアドレスが指定されており、ボタンが押された時にそれぞれのアドレスへのリクエストを受けて「ATOM LITE」側で処理が実行されます。
各ボタンには以下のようにルート(IPアドレス)に続くアドレスを指定しています。
・ONボタン:(IPアドレス)/get/btn_on
・OFFボタン:(IPアドレス)/get/btn_off
次に68行目~72行目のように初期設定(void setup)の中でブラウザからのリクエスト(アドレス)を受けた時に実行する処理(関数)を以下のように設定します。
// サーバー設定
server.on("/", handleRoot); //ルートアクセス時の応答関数を設定
server.onNotFound(handleNotFound); //Webページが見つからない時の応答関数を設定
server.on("/get/btn_on", btnOn); //ボタンオン受信処理
server.on("/get/btn_off", btnOff); //ボタンオフ受信処理
server.begin(); //Webサーバー開始
server.on:ブラウザからのリクエストに対して実行する関数を指定するコマンド。
アドレス:ブラウザから受信するアドレス(リクエスト)を指定(「/」はルート「192.168.4.1」を表す。)
関数名:ブラウザからのリクエストを受けて実行する関数を指定。レスポンスもこの関数内で返す。
設定が終わったら最後に「server.begin()」を実行してサーバー動作を開始します。
次に31行目~50行目のようにブラウザからのリクエストに対して実行する処理をそれぞれ関数にまとめて設定します。
まずは32行目~34行目のようにルート「/」(IPアドレス)へのリクエストに対して実行される処理を以下のように設定します。
ここでは、レスポンスコード「200」で通信が正常に行われたことを知らせて、「html」に格納されている文字列を「htmlデータ」として返しています。
// ルートアクセス時の応答関数
void handleRoot() {
server.send(200, "text/html", html); //レスポンス200を返しhtml送信
}
server.send:ブラウザのリクエストに対してレスポンスを返すコマンド。
レスポンスコード:通信結果をブラウザ側に伝える3桁のコード。
・「200」通信正常終了
・「404」Webページが見つからない・・・等
データ形式:ブラウザへ送信するデータ形式(MIMEタイプ)を指定。
・「text/html」htmlデータ
・「text/plain」テキストデータ
・「text/css」cssデータ
・「text/javascript」JavaScriptデータ・・・等
送信データ:ブラウザへ送信するデータ
次に36行目~38行目のようにブラウザからリクエストされたアドレスが見つからなかった時の処理を以下のように設定します。
ここでは、レスポンスコード「404」でページが見つからなかったことを知らせて、「404 Not Found!」を「textデータ」として返しています。
// エラー(Webページが見つからない)時の応答関数
void handleNotFound() {
server.send(404, "text/plain", "404 Not Found!"); //text送信
}
次に39行目~50行目のようにブラウザの「ON」「OFF」ボタンが押された時のリクエストに対して実行される処理を以下のように設定します。
「ON」ボタンの処理は出力端子をHIGH(5V)にして本体LEDを青色に点灯した後、レスポンスコード「200」で通信が正常に行われたことを知らせて、「html」に格納されている文字列を「htmlデータ」として返しています。
「OFF」ボタンの処理は出力端子をLOW(0V)にして本体LEDを白色に点灯した後、レスポンスコード「200」で通信が正常に行われたことを知らせて、「html」に格納されている文字列を「htmlデータ」として返しています。
// ブラウザONボタン処理
void btnOn() {
digitalWrite(21, HIGH); //出力0 ON(青色LED)
M5.dis.drawpix(0, dispColor(0, 0, 200)); //本体LED(青)
server.send(200, "text/html", html); //レスポンス200を返しhtml送信
}
// ブラウザOFFボタン処理
void btnOff() {
digitalWrite(21, LOW); //出力0 OFF(青色LED)
M5.dis.drawpix(0, dispColor(20, 20, 20)); //本体LED(白)
server.send(200, "text/html", html); //レスポンス200を返しhtml送信
}
最後に89行目のようにメイン処理(void loop)内で以下を実行し続けブラウザからのリクエストを監視します。
ブラウザからのリクエストが確認されたら、サーバー設定で設定した各処理を実行します。
server.handleClient(); //クライアントからのアクセス確認
5.まとめ
WiFiで自宅のローカル環境に接続するには、ヘッダーファイル「WiFi.h」を準備して、設定した「SSID」と「パスワード」で「WiFi.begin」を実行するだけで接続が開始されます。
WiFi.status()で通信状況を確認し、これが「WL_CONNECTED(接続完了)」になれば接続完了です。
サーバーの設定は、ヘッダーファイル「WebServer.h」を準備して、通信ポートを「80」に設定します。
ブラウザページとして表示する「htmlデータ」を文字列で準備します。
「server.on」で各リクエストに対して実行する関数を設定し、この関数内の処理が実行された時には「server.send」でレスポンスコードとデータを返すように設定します。
メイン内で「server.handleClient」を繰り返し実行しブラウザからのリクエストを監視し、ブラウザからのリクエストが確認されたら、設定した各処理を実行しています。
今回の遠隔操作は、サーバーのリクエスト(要求)に対してレスポンス(応答)を返すという動作を利用して、リクエストを受けたら必要な処理を実行させることで実現しています。
アクセスポイント接続ですが、ボタンの「ON」「OFF」だけでなく「ATOM LITE」側のボタン状態やカウント数、アナログ値を表示する「簡易IoT」は以下のリンクで紹介しています。

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