抵抗とは?「オームの法則」の簡単な覚え方

抵抗とは?オームの法則の簡単な覚え方

電気について「電圧」と「電流」の関係を紹介してきましたが、電気について考える時に「電圧」「電流」と同じぐらい大事なものに「抵抗」があります。

ここでいう「抵抗」とは「電気抵抗」のことです。今回はこの「抵抗」について詳しく紹介します。

前回の内容は以下のリンクで詳しく紹介しています。

電流とは?「電流」の動きは「電子」の動き
電流を知るには電子を知ろう。電流の流れは電子の動き、電子の動きを見れば一目瞭然、電流について画像を多めに使って簡単にわかりやすく紹介します。
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1.抵抗とは?

以前「電気とは?」で「電圧」があるところに「電流」が発生し、「電流」は「電圧」が高いところから低いところへ流れていくと紹介しました。

「抵抗」とは、文字通り何かに抵抗する力です。
「電気抵抗」とは「電流」の流れやすさに影響するものです。

「抵抗」の変化で「電流」がどのように変化するかを「電気とは?」の時と同様にモーターを動作させる事を例に見ていきましょう。

「電圧」は同じとして「抵抗」が小さい場合と大きい場合で「電流」が変化し、モーターの動作は下画像のようになります。

抵抗とは?オームの法則の簡単な覚え方
抵抗とは?オームの法則の簡単な覚え方

「電圧」が同じで「抵抗が小さい」と大きな「電流」が流れてモーターは力強く回ります。
「電圧」が同じで「抵抗が大きい」と「電流」は小さくなりモーターの回転は弱くなります。

「電圧」が同じ場合、「抵抗が小さい」と「電流は大きく」なり、「抵抗が大きい」と「電流は小さく」なります。
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2.水の流れに例えて抵抗をイメージしてみよう

「電気とは?」の時と同様に、「電流」の流れを水の流れに例えてイメージしてみましょう。
先ほどの「抵抗」の変化によるモーターの動きを水の流れに例えると下画像のようになります。

ここでは
・「水圧」=「電圧」
・「水流」=「電流」
・「水路」=「抵抗」
・「水車の回転」=「モーターの回転」
として考えます。

抵抗とは?オームの法則の簡単な覚え方
抵抗とは?オームの法則の簡単な覚え方

下に穴の空いた容器に水を入れると、「水圧」が同じでも「水路」の太さに応じて噴き出す「水流」の量が変わります。
吹き出した「水流」の先にモーター代わりの「水車」を置いてみましょう。

「水路」が太い容器は水が流れやすく、噴き出す「水流」が大きくなり「水車」が力強く回ります。
水路」が細い容器は水が流れにくく、噴き出す「水流」が小さくなり「水車」の回転は弱くなります。

「水圧」があるところに「水流」が発生します。これは、
「電圧」があるところに「電流」が発生するのと同じです。

「水圧」が同じ場合「水路」の太さによって噴き出す「水流」が変わります。これは、
「電圧」が同じ場合「抵抗」の大きさによって流れる「電流」の大きさが変わることと同じです。

「抵抗」は水を流すための「水路」と同じように「電流」の流れやすさに影響するものです。
「抵抗」が小さいと「電流」は流れやすくなり、「抵抗」が大きいと「電流」は流れにくくなります。
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3.「オームの法則」の簡単な覚え方

「抵抗」の大きさは「電圧」と「電流」から「オームの法則」で求めることができます。
「オーム」とは「抵抗」の単位で「Ω」と書きます。

「オームの法則」の基本式
 V(電圧) = R(抵抗) × I(電流)

「電圧」「抵抗」「電流」のうち、どれか2つがわかれば残りの1つを求めることができます。
図でイメージしておくとわかりやすいので、下の画像で確認してみましょう。

抵抗とは?オームの法則の簡単な覚え方

・図の中の隣同士を「掛け算」することで残りの1つを求められます。
・図の中の上下同士を「割り算」することで残りの1つを求められます。

オームの法則の簡単な覚え方
「V=RI」なので「VRI」で「ブリ」と覚えておくと忘れにくいです。
基本式だけ覚えておけば以下のようにその都度変換すれば大丈夫です。
・抵抗 R(Ω:オーム)を知りたい時:R = V / I
・電流 I(A:アンペア)を知りたい時:I = V / R

4.「オームの法則」で計算してみよう

実際にオームの法則を使って「電圧」と「抵抗」から「電流」を求めてみましょう。
下図のように乾電池に「抵抗器」をつなげた場合で見ていきましょう。

「抵抗器」とはある一定の「抵抗値(Ω)」になるように人工的に作られたものです。
電子回路では使用する「電圧」に対して必要な「電流」を流したい時に、この「抵抗器」で調整します。
抵抗とは?オームの法則の簡単な覚え方

「電圧 V」は乾電池として一般的な「1.5V(ボルト)」とします。
「抵抗 R」は今回は「100Ω(オーム)」とします。
この時の「電流 I(A:アンペア)」は「オームの法則」で以下のように求められます。

電流 I = 電圧 V / 抵抗 R
電流 I = 1.5 / 100
         = 0.015(A:アンペア)
         =15(mA:ミリアンペア)

電流は「0.015A(15mA)」ということがわかりました。

ちなみに「電圧」1.5Vで「電流」0.015A流すための抵抗値Rは「R = 1.5 / 0.015」で100Ωになることがわかります。

「電圧」や「抵抗」は最初からわかっている場合が多いですが「電流」は専用の測定器が必要なため計算で求めることが多いです。

5.色々な物質の抵抗値

「抵抗値(Ω)」はその物質の長さ(m)、面積(㎡)とその物質が持つ「抵抗率(Ω・m)」から以下のように求められます。

抵抗とは?抵抗値の求め方の公式

色々な物質ごとの「抵抗率」は下の電気抵抗率一覧表のようになります。
ウィキペディア(電気抵抗率の比較)より抜粋 ※22/07/30時点

抵抗とは?抵抗値抵抗率一覧表

電気抵抗が最も低いのは「銀」で次に「銅」「金」となります。
ただし、温度によっても抵抗は異なります。上表は20℃の場合の抵抗率のため、温度によっては順番が入れ替わるものもあります。

効率よく電流を流すには抵抗値の低い「銀」が理想的ですが、高価なことと、表面が錆びやすいことからそのまま電子部品に使われることはほとんどありません。
しかし、他の金属(ニッケル、スズ等)と合金にすることで耐久性の高い性質が得られるため、スイッチの接点部等によく使用されます。

次に抵抗の低い「銅」も錆びやすいですが、安価なため表面をスズ等でメッキをして電線や電極部に最もよく使用されます。

「金」は「銀」より高価で「銅」よりも電気抵抗が高いですが、その錆びにくさから電極部のメッキとしてよく使用されます。
また、「金」は「延性(引き伸ばしやすさ)」が良く、1gの金なら3000m程まで伸びます。(銀は1gで2000m程)このため、半導体パッケージ内の集積回路と電極を接続(ワイヤボンディング)するために金線が使われることが多いです。

抵抗率が大きい物質は「絶縁体」や「不導体」と呼ばれ、紙、木材、ガラス、ゴム等がこれにあたります。
「絶縁体」と聞くと電気を通さないイメージですが、電気を通し難いだけで電圧が高くなれば電流が流れます。
人体も比較的高い抵抗率を持っていますが電圧によっては電流が流れて感電するので注意しましょう。

6.まとめ

「抵抗」について紹介しました。
「抵抗」とは文字通り何かに抵抗する力です。「電気抵抗」とは「電流」の流れやすさに影響するものです。

「抵抗」が小さいと「電流」は流れやすくなり、「抵抗」が大きいと「電流」は流れにくくなります。

「抵抗」の大きさは「電圧」と「電流」から「オームの法則」で求めることができます。
「オーム」とは「抵抗」の単位で「Ω」と書きます。

「オームの法則」の基本式は「V(電圧) = R(抵抗) × I(電流)」です。
V=RIなので「VRI=ブリ」と覚えましょう。
「電圧」「抵抗」「電流」のうち、どれか2つがわかれば残りの1つを求めることができます。

「抵抗値(Ω)」はその物質の長さ(m)、面積(㎡)とその物質が持つ「抵抗率(Ω・m)」で決まります。
電気抵抗が最も低いのは「銀」で次に「銅」「金」となり、価格や錆びにくさから用途に合わせて使い分けられます。

抵抗が大きい物質は「絶縁体」や「不導体」と呼ばれるため、電気を通さないイメージですが、電気を通し難いだけで電圧が高くなれば電流が流れます。
人の体でも電圧によっては電流が流れて感電するので注意しましょう。

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