音量や風量、明るさ、回転数等を調整するのに使用される「ボリューム(可変抵抗器)」について紹介します。
最近ではあまり見かけなくなりましたが、音量の調節といえばこの「ボリューム」のツマミを回して調節するものが多くありました。
このため今でも「ボリュームを上げる」=「音量を上げる」として使われます。
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1.いろいろな「ボリューム(可変抵抗器)」の外観
2.「ボリューム(可変抵抗器)」の回路図記号
3.「ボリューム(可変抵抗器)」の実際の使い方
・実際に動作確認に必要な部品等の紹介
4.オームの法則について
5.おすすめのボリュームユニット
6.ポテンショメータや半固定抵抗器もボリューム?
7.まとめ
1.いろいろな「ボリューム(可変抵抗器)」の外観
「ボリューム」には下画像のように用途に応じていろいろな形、大きさのものがあります。
いろいろな種類がありますが基本的に足(端子)が3本あり、抵抗値を調整できる回転部があります。
※写真にはありませんが操作部が直線的にスライド動作するものもあります。
基本的には両端の端子の抵抗値は固定で、回転部を回すことで真中の端子の抵抗値を調整することができます。
2.「ボリューム」可変抵抗器の回路図記号
「ボリューム」の回路図記号は固定抵抗器の真ん中から1本線を出して以下のように書きます。
両端に5V電源の5V(+)と0V(ー)をつなげて「ボリューム」の回転部を回すと、真ん中の端子から0~5Vの電圧を得ることができます。
この電圧の変化を読み取って、プログラムによって音量や明るさの調整に利用します。
プログラムで「ボリューム」からの電圧の変化を確認するためには「マイコンボード」の端子に「ボリューム」の真ん中の端子を接続する必要があります。
しかし、このまま接続すると、5V側に調整した時は上画像のように電流を制限する抵抗が無いことになります。
こうなると大きな電流が流れてマイコンボードを壊してしまうため注意が必要です。
0V側に調整した時は電流は抵抗で制限されるため問題ありません。
0Vになっている時は真ん中の端子から電流は流れませんが、5V側に近づくにつれて電流は大きくなっていきます。
実際使用する時は5V側に調整しても電流が制限される状態にする必要があります。
3.「ボリューム(可変抵抗器)」の実際の使い方
「ボリューム」は単体で電源に接続して使用することはあまりありません。
実際は調整したい電圧範囲になるように下画像のように抵抗(固定抵抗器)と組み合わせて使用します。
5V電源を使用した0~3.3Vの電圧調整用回路を例に紹介します。
ボリュームを使ったアナログ入力(A/D変換)の使い方は以下リンクで詳しく紹介しています。
固定抵抗器(R1)とボリューム(VR1)は直列で接続し、両端に5Vの電源を接続します。
この時「ボリューム」の回転部を回すと0Vの端子と真ん中の端子間の電圧が0~3.3Vに変化するように抵抗(R1)とボリューム(VR1)の値を設定します。
次に抵抗(R1)を4.7kΩ(4700Ω)、ボリューム(VR1)を9.1kΩ(9100Ω)として各部の値を計算してみましょう。
まずは電圧 V(5V)と「抵抗(R1+VR1)」から、全体に流れる「電流 I」を求めます。
I = V / (R1 + VR1)
5 / (4700 + 9100) ≒ 0.000362(A)
0.000362(A) = 0.362(mA)
求めた電流から「ボリューム」VR1の両端電圧をV2として求めます。
V2 = VR1 × I
9100 × 0.000362 = 3.294 ≒ 3.3(V)
「ボリューム」VR1の両端電圧がほぼ3.3Vになりました。
「ボリューム」の調整を3.3Vにしても抵抗R1で電流が制限されているので安全です。
・実際に動作確認に必要な部品等の紹介
数字や記号を眺めているよりは実際に触って体感してみた方が理解は断然早いです。
ボリュームは各社購入できますが、電子部品関係はamazonが選択肢が豊富で価格も安いです。
固定抵抗器は10Ω〜1MΩまで各20本、30種類の600本セットです。ケース不要ならもっと安いのもありますがあった方が便利です。
あとは、あると便利なワニ口クリップ、色が豊富な方が使いやすいです。
4.オームの法則について
各部の電圧、電流、抵抗の値は「オームの法則」で計算しましたのでここで紹介しておきます。
3つの値のうち2つがわかれば残りの一つを求めることができます。
「オームの法則」の基本式は
「V(電圧) = R(抵抗) × I(電流)」です。
抵抗やオームの法則については、以下のリンクでも詳しく紹介しています。
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5.おすすめのボリュームユニット
外付けの抵抗を使わなくても抵抗回路が内蔵されている「ボリュームユニット」を紹介します。
下画像の「ボリュームユニット」は「M5Stack社」製の「ANGLE UNIT」です。
この「ボリュームユニット」には上で紹介した「実際の使い方」と同じ回路が内蔵されていて、汎用性の高い「Groveコネクタ」とケーブルも付属しています。
2つの穴はレゴ(テクニック)の「コネクターペグ」等が差し込めるので固定に利用できます。
配線は4本ありますが黄色(OUT)は内部でどこにも繋がっていないので使用しません。
残りの3本を使用して、赤色に5V、黒色に0Vを接続すると白色(IN)と黒色(GND)間の電圧を0~約3.3Vの範囲で調整できます。
この「ボリュームユニット」とマイコンボード「ATOM LITE」に内蔵のフルカラーLEDを使用してLEDの発光色を変化させるプログラムも以下のリンクで詳しくで紹介していますので、実際に使いながらもっと理解を深めましょう。
6.ポテンショメータや半固定抵抗器もボリューム?
「ボリューム」や「可変抵抗器」で検索していると「ポテンショメータ」や「半固定抵抗器」「半固定ボリューム」等を目にすることがあると思います。これらの違いは何でしょうか?
これらはいずれも「可変抵抗器」です。
「ボリューム」「可変抵抗器」「半固定抵抗器」「半固定ボリューム」は用途によって呼び方が変わるだけで全て同じものと考えて良いと思います。
しかし、「ポテンショメータ」だけは違う扱いで使用されることが多いです。
「ポテンショメータ」は操作部の移動量に対して精度高く直線的に抵抗値が調整できるように設計されたもので、「多回転」の物もあり、部品というよりセンサ的な位置付けにあります。
7.まとめ
ボリューム(可変抵抗器)について紹介しました。
最近の電化製品ではデジタル化が進み、目に見える部分に使われることは少なくなりましたが、内部基板の精度調整や工場で使用される制御機器、センサの特性調整等にはまだまだたくさんのボリュームが使用されています。
なにより電子工作には欠かせない部品です。
基本的な構造は回路図記号のように、抵抗(固定抵抗器)に抵抗値が可変できる端子が1つ追加されたものです。
ボリュームを調整することで、電圧値を調整することができ、電子回路の特性調整や、マイコンへのアナログ入力値として、その値の変化を利用したプログラムを作成できます。
電圧調整の用途だけでなく、電圧値から操作部の位置や移動量を知ることもできます。
微調整や精度の高い位置検出を行う場合は「多回転ポテンショメータ」を使用します。
構造は単純なものですが使い方によっていろいろな用途に使用することができます。
今後どんなにデジタル化が進んでもボリュームがなくなることは無いと思いますので、構造や用途を理解して使いこなしていきましょう。
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コメント
3.「ボリューム(可変抵抗器)」の実際の使い方 の 2つ目の図 R1 の
電圧は 1.7V ですよね? R1とR2のかかる電圧の合計が 6V になっていますがが….
ご指摘ありがとうございます!
ご指摘の通り思いっきり間違えてますね・・・
単純なミスでお恥ずかしい>< 早速修正しました。