SnapDragon X(ARM)でM5Stack/ラズパイPicoの動作確認

ARM版Windows環境構築アイキャッチ

「SnapDragon X」搭載の「Surface」を使用しARM版Windows環境で「M5Stack」や「Raspberry Pi Pico」の開発環境や書込みが問題なく動作できるかを確認していきます。

私の開発環境では「Mac」と「Windows」両方を使用していますが、Windows10のサポート終了が10月14日と迫っており、次のWindowsパソコンを探していました。

Windowsパソコンは「Surface Go」を使用していたため、次もSurfaceを検討しましたが、ARM系アーキテクチャの「SnapDragon」搭載機種が増えてきています。

ARM版Windowsで「ArduinoIDE」等のソフトが問題なく動作するのか?マイコンデバイスがUSBで認識されるのか?情報も少なく購入を迷っていましたが、性能やコスト的には魅力的なことと、ARM環境でどこまでできるのか逆に興味も出てきたので、購入することを決めました^^

実際に動作確認すると、基本的な動作は問題なさそうですが「USBが認識しない」「USBハブ経由でないと動作しない」等の問題もあったため、実際に動作確認した様子を詳しく紹介していきます。
パソコンは「Surface Pro 12(SnapDragon X Plus)」を使用します。
動作確認するデバイスは、搭載されている「USBドライバ」が異なるデバイスで、できるだけ多くの種類を確認していきます。
開発環境はM5Stackは「ArduinoIDE」、ラズパイPicoは「Thonny」をメインに動作確認していきますが、他にも動作の確認が出来次第追記していければと思います。
スポンサーリンク

1.SnapDragonとは

Snapdragon」とは、アメリカの半導体企業「Qualcomm(クアルコム)」によって開発された「SoC」です。(製造は TSMC(台湾) や Samsung(韓国) に委託)

SoC」とは、「System on Chip(システム・オン・チップ)」の頭文字をとったもので、その名の通り一枚の「基板(チップ)」上に様々な「システム(CPUやGPU、メモリ等)」を統合したものです。

SoC」の登場によりスマートフォン等の電子デバイスの小型化が一気に進みました。
SoC」の存在無しでは現在のコンパクトで高機能なスマートフォンやモバイルルータ等は存在していないと言ってもいいでしょう。

Snapdragon」のプロセッサには、「ARMAdvanced RISC Machines)アーキテクチャ(設計思想)」が採用されています。

ARMアーキテクチャとは

ARMアーキテクチャ」とは、主にモバイルデバイスや組み込みシステム向けに設計された「RISCReduced Instruction Set Computer)」ベースの命令セットアーキテクチャ(設計思想)です。

ARMアーキテクチャの特徴は以下のようになります。

  • 低消費電力: 設計当初から低消費電力を重視しており、バッテリー駆動のデバイスに非常に適している。
  • 高い電力効率: 限られた電力で高い処理能力を発揮。
  • シンプルな命令セット: 命令セットがシンプルであるため、回路設計が比較的容易で、処理にかかる消費電力を低くできる。
  • ライセンスモデル: 「ARM」自身はチップを製造せず、その設計をQualcommAppleSamsung等の半導体メーカーにライセンス供与しています。
    これにより、各メーカーは「ARM」の基本設計をベースに独自のカスタム「SoC」を開発しています。
  • 互換性の問題:従来のWindowsパソコンで採用されているIntel/AMDの「x86/x64系アーキテクチャ」とは全くの別物で、ARM環境で開発されたアプリはx86/x64環境では基本的には動作できない。

ARM版 Windowsの登場

モバイル機器向けに「ARM」ベースで開発された「Snapdragon」ですが、Microsoftが「ARMアーキテクチャ」上で「Windows 10/11」を動作させる「Windows on ARM」プロジェクトを推進したことで、「Snapdragon」を搭載したPCが市場に投入される道が開かれました。

従来のIntel/AMDの「x86/x64アーキテクチャ」だけでなく、「ARMアーキテクチャ」でもWindows が利用可能になり、2017年頃から「Snapdragon」搭載PCが登場、2024年以降にはAI処理に特化した「Snapdragon Xシリーズ(X Elite / X Plus)」を搭載したPCが本格展開されています。

Snapdragon」がパソコンへ搭載されていった背景には、他にも以下の要因があります。

  • モバイルデバイスでの成功: スマートフォンやタブレットで培った低消費電力・高性能のSoC技術をPCにも応用することで、バッテリー駆動時間の長いモバイルPCの実現が可能。
  • 常時接続のニーズ: スマートフォンと同じように常にインターネットに接続できる「Always Connected PCのコンセプトが提唱され始め、モデム機能を統合しているSnapdragonはこのコンセプトに最適。
  • Apple Mシリーズの成功: 「Apple」が自社設計のARMベースチップ「Mシリーズ」をMacに搭載し、その高い性能と電力効率を示したことで、ARMアーキテクチャがPC市場で競争力を持つことが証明された。
「ARM」環境でもWindowsを使用できるようになりましたが、見た目は同じでも中身は従来のWindowsとは全くの別物です。このため、ARM版Windowsで「x86/x64」系のアプリを動作させるためには「エミュレータ」が使用されています。
エミュレータ」を使用することでほとんどのアプリが問題なく動作できるようになってきていますが、内部システムに依存するものは動作できないものがあります。
特に「ドライバ」に関しては「ARM」専用のドライバを別途インストールする必要がある場合があるため注意が必要です。

AIパソコン時代の幕開け

近年、「生成AI」や「リアルタイムの画像・音声処理」など、AI技術を利用した高度なタスクの需要が急増しています。これに対応するため、PCにも専用のAIプロセッサ(NPUNeural Processing Unit)を搭載する「AIパソコン」が登場し始めました。

Snapdragon Xシリーズ(X Elite / X Plus)」は、CPU・GPUに加え、強力なNPUを内蔵しており、ローカルでAI処理を行える性能を備えています。これにより、以下のような新しいPC体験が可能になってきています。

  • 文書作成や画像生成、編集など、「生成AI」を活用したクリエイティブ作業をクラウドに頼らず高速に実行。
  • リアルタイムの音声文字起こしや翻訳議事録作成等をノイズキャンセリングや音声識別を行うAIを使用し、業務の効率化やスマートなコミュニケーション支援が可能。
  • パーソナルAIアシスタントによる生産性向上(スケジュール管理、要約、リライトなど)
「Snapdragon」はこのようなAIパソコン時代到来の流れに最適な設計を持ち、Windowsと組み合わせる(Copilot+PC)ことで、低消費電力かつ常時接続可能な次世代モバイルAI PCの実現を可能にしました。

Intelパソコンとの主な性能比較

モデルや価格帯で違いはありますが、特徴的なところをIntelパソコンと比較すると以下表のようになります。

項目Snapdragon PCIntel PC
消費電力非常に低く、ファンレス設計も可能高性能だが発熱・消費電力が大きい
バッテリー持ち最大20時間以上の長時間駆動も可能モデルによっては短め
AI処理性能NPU搭載で最大45TOPSNPU性能はモデルによって45TOPS以上
互換性一部x86アプリが動作しないことも
ドライバはARM対応ドライバが必要なものもある
互換性は非常に高い
価格帯高性能モデルでも比較的安価ハイエンドは高価になりがち
特徴まとめ
Snapdragon:
軽量で長時間駆動が可能で安価なAI搭載PC
       生成AIを活用した文書作成や作業性の向上、プログラミング学習にも最適
Intel:互換性が高く、価格によって高負荷処理が可能なハイエンドPC
   AIを利用した複雑なタスクの実行や大量の画像、動画生成、編集作業に最適
スポンサーリンク

2.Surfaceとは

Surface」とは、「Microsoft(マイクロソフト)」社 が製造・販売しているパソコン、タブレット、のブランドです。Windows OSを開発しているマイクロソフト自身が手掛けるハードウェアとして、Windowsの機能や性能を最大限に引き出せることが期待されます。

近年では「Snapdragon Xシリーズ(X Elite / X Plus)」を採用することで、安価で低消費電力ながら高速なAIタスクが処理できる「Copilot+PC」が主力になってきています。

主なシリーズと特徴

  • Surface Pro: タブレットとしてもノートPCとしても使える、Surfaceの代表的な2-in-1モデル。高い携帯性とパフォーマンスを両立。
  • Surface Laptop: スタイリッシュで高性能なクラムシェル型ノートPC。快適なタイピングとディスプレイが特徴。
  • Surface Go: 軽量・コンパクトで手頃な価格のエントリーモデル。持ち運びやサブ機として最適。
  • Surface Laptop Studio: クリエイター向けの高性能な2-in-1デバイス。ディスプレイを様々な角度に調整でき、ペン入力での創作活動に特化。
  • Surface Studio: 大画面のオールインワンデスクトップPC。クリエイティブ作業に最適な、ディスプレイを傾けられる特徴を持つ。
これらの特徴により、Surfaceシリーズは、ビジネス、学生、クリエイターなど、幅広いユーザーのニーズに応えるデバイスとして人気を集めています。

Surface Pro 12について

今回動作確認に使用した「Surface Pro 12」の外観は下写真のようになります。

Surface Pro 12外観
Surface Pro 12外観

「Surface」の上に載っているのは「M5CORE2(50x50mm)」です。
最近のパソコンは13インチ以上のものがほとんどですが、12インチでも十分な画面サイズで場所も取らないので、机上での小型デバイスのプログラムに最適と思います。

仕様や特徴は以下表のようになります。

機能仕様
プロセッサSnapdragon® X Plus (8 コア)
NPUQualcomm® Hexagon™ (45 TOPS)
グラフィックスQualcomm® Adreno™ GPU
メモリ16GB LPDDR5x RAM
ストレージ256GB/512GB (UFS)
ディスプレイタッチスクリーン: 12 インチ PixelSense LCD ディスプレイ
解像度:2196 x 1464 (220 PPI)、縦横比: 3:2
最大 90Hz の動的リフレッシュ レート (既定値 60Hz)
10 点マルチタッチ、強化ガラス ディスプレイ
バッテリー駆動時間最大 16 時間のローカル ビデオ再生
最大 12 時間のアクティブな Web 使用
サイズW274 × D190 × H7.8 mm
重量686g(本体のみ) ※別売り専用キーボード340g
カメラフロント Surface Studio カメラ:フル (1080p) HD
リア カメラ:10MP Ultra HD
サインイン セキュリティの強化を使用した Windows Hello 顔認証対応カメラ
オーディオDolby® Atmos®
オーディオ搭載 2W ステレオ スピーカー
Bluetooth® LE Audio 対応
マイク音声フォーカス搭載 デュアル スタジオ マイク
USBポート2 × USB-C® / USB 3.2 ポート (以下に対応):
 充電&データ転送
 DisplayPort 1.4a (最大 2 台の 4K モニター @60Hz 対応)
 Surface Thunderbolt™ 4 ドックとその他のアクセサリ
充電USB-C® を介した定格出力 45 W 以上の充電ケーブルを使用した急速充電をサポート
※ACアダプターの付属は無し
ネットワークと接続Wi-Fi 7/Bluetooth® Core 5.4 テクノロジ
専用ペンSurface スリム ペン (2nd エディション)  ※別売
12インチの背面にある Surfaceスリム ペン用の収納部とワイヤレス充電器
専用キーボードSurface Pro 12 インチ Keyboard  ※別売
ソフトフェアWindows 11 Home
Microsoft 365 Personal (24か月間のサブスクリプション)
付属品USB-C® 充電ケーブル 
クイック スタート ガイド、安全性および保証に関する書類
※充電器、ペン、キーボードは付属していません
Windowsは「ARM」版のため、一部のアプリや専用のドライバを必要とする機器は動作しない可能性があります。
また、USB Type-A等への変換アダプタを使用すると、機器を認識できなかったり、通信できない場合があるため、この場合はUSBハブを使用すると正常に動作できることがあります。
スポンサーリンク

3.開発環境のインストール、動作確認

「ARM」版のWindows11環境で、マイコンデバイス(M5Stack系、Raspberry Pi Picoシリーズ)の開発環境が問題なく動作できるのか、実際にインストールして確認していきます。

・ArduinoIDE

ArduinoIDEは、「M5Stack系」と「ラズパイPicoシリーズ」の「C言語」の開発環境です。

インストールには以下のリンクをクリックします。

Software
Open-source electronic prototyping platform enabling users to create interactive electronic objects.

下画像のようなページが表示されますが、「ARM」版は無いため[ Windows Win 10 and never, 64 bits ]をクリックしてインストールしました。

ArduinoIDE2インストール

ArduinoIDEのインストール方法は以下のリンクで詳しく紹介しています。

M5StackシリーズのためのArduino IDEのインストール方法と初期設定、使い方紹介
ArduinoIDEバージョン2のインストール方法から初期設定、スケッチ例の書き込み、コピペでの使い方まで詳しく紹介します。インストールはArduinoでも同じです。
ラズパイPico/Pico2/PicoWのArduinoIDE2のインストール方法や使い方紹介
Raspberry Pi Pico/Pico2/PicoWのC言語での開発環境 ArduinoIDE2のインストールから初期設定、使い方、Lチカで動作確認まで詳しく紹介

従来通りインストールを進めたところ、途中でUSBドライバのインストールもありましたが、特に問題なくインストール完了し、ライブラリのインストールやコンパイルも問題なく動作できました。

書き込みについては、M5Stack系はデバイスごとに専用のUSBドライバのインストールが必要になるため、この後の「4.M5Stack系のUSBドライバについて」や「5.M5Stack系の書き込み」を確認してください。

・VSCode(PlatformIO)

VSCode」とは、Microsoft社が開発したオープンソースのソースコードエディタで様々なプログラム言語に対応しています。

C言語」や「Python」を使用したプログラムの開発はもちろん拡張機能の「PlatformIO」をインストールすることで、プログラムの書き込みやデバッグも行うことができます。

インストールには以下のリンクをクリックします。

Visual Studio Code - Code Editing. Redefined
Visual Studio Code redefines AI-powered coding with GitHub Copilot for building and debugging modern web and cloud applications. Visual Studio Code is free and ...

下画像のようなページが表示されたら、左上の[Douwnload]ボタンをクリックします。

VSCodeのインストール

下画像のようなページが表示されたら[Windows Windows10,11]をクリックします。

VSCodeのインストール
Arm64」版もありますが、普段使用している「拡張機能」が全て対応しているのかわからないため、エミュレータに期待して「Windows」版をインストールしてみました。

インストール方法は、以下のリンク先で日本語化も含めて詳しく紹介しています。

Visual Studio Code (VSCode)のインストールと日本語化から基本設定まで紹介
簡単高機能エディタ「VS Code(Visual Studio Code)」のインストールから初期設定まで紹介。 様々なプログラム言語に対応。プログラミング初心者にもおすすめ、現役最強エディタを使いこなしていきましょう。
PlatformIO」のインストールについては、最近は「ArduinoIDE」が使いやすくなったこともあり、まだ未確認です。確認出来次第追記していきます。

インストール方法については以下のリンクで詳しく紹介しているものと同じと思います。

PlatformIO のダウンロードからインストールの紹介。Arduino IDEより速い!高性能!
Platform IOとは VSCode(エディタ)で動作する、IDEと呼ばれる統合開発環境です。 Arduino IDEでも開発できますが、見やすさ、編集のしやすさ、書込みスピード、どれをとってもPlatform IOの方がおすすめです

・UiFlow

※動作未確認、確認出来次第追記します。

・Thonny

Thonny」とは「Python」の開発環境として使用されますが「Pico2」や「ESP32」「micro:bit」等のマイクロコントローラの開発環境としても使用できます。

インストールには以下のリンクをクリックします。

Thonny, Python IDE for beginners
thonnyのインストール

上画像のようなページが表示されたら[Windows]のところにカーソルを持っていきます。

thonnyのインストール

上画像のような表示になったら[thonny-4.1.7.exe]をクリックするとインストーラーがダウンロードされるので、ダウンロードが終了したらこれをクリックするとインストールできます。

Thonnyのインストール方法からPicoへの書き込み方法については、以下のリンク先で詳しく紹介しています。(初回はSSL認証エラーが出る可能性があるため、対処方法も紹介しています

ラズパイPicoの使い方 MicroPython&開発環境Thonny、SSLエラーの対処方法も紹介
Raspberry Pi Picoので開発環境Thonnyを使用した「Python(MicroPython)」でのプログラミング方法について初期設定からパッケージ(ライブラリ)の追加、動作確認の方法まで詳しく紹介します。

4.M5Stack系のUSBドライバについて

「M5Stack」系デバイスにはデバイスごとに専用のUSBデバイスが採用されており、書き込みを行うためには専用のドライバをインストールする必要があります。

・公式ページのドライバ(x64系)は使用不可

以下のリンクをクリックすると「M5Stack」の公式ホームページでUSBドライバをインストールすることができますが、ほとんどが「x64」系のドライバのため「ARM」系Windowsでインストールしようとするとエラーになり、インストールすることができません。

m5-docs
The reference docs for M5Stack products. Quick start, get the detailed information or instructions such as IDE,UIFLOW,Arduino. The tutorials for M5Burner, Firmw...
USBドライバがインストールされていないと、ArduinoIDE等の開発環境がインストールされていても、プログラムの書き込みはもちろん、デバイスを認識することもできません。

・Arm対応ドライバの入手方法

今回動作確認に使用した「Surface Pro 12」は「ARM版Windows」のため、各デバイスを接続するだけでは認識しませんでした。

色々試して、最終的に手持ちのM5Stack系デバイスは全て認識するようになりましたが、結局どれが決め手でできるようになったのかわからなくなってしまいました・・・
確認のためにパソコンの初期化もしてみましたが、初期化後はドライバのインストールなしで使えるままだったので、もしかしたら「ドライバの更新」や「Windowsアップデート」で最適なドライバが設定されたのかもしれません。

もし更新やアップデート等でもデバイスが認識されない場合は以下を確認して、必要に応じてARMのドライバをインストールしてみてください。


「M5Stack」系デバイスにはデバイスごとに以下の3種類のドライバが必要となります。

機種によっては途中でドライバチップが変更になっているものもあります。
どの機種でも使用できるように全てのドライバをインストールしておくのがおすすめです。
Surface特有の問題かもしれませんが、FTDIドライバ対応デバイス(M5StickC PlusやATOM等)はパソコンと直接USBケーブルで接続すると正常に動作しない場合があります。この場合はハブ経由で接続すると正しく動作できるため、試してみてください。

M5Stack社にARM版ドライバについて問い合わせましたが「未対応でARM版ドライバはありません。」(2025/6/30時点)との回答だったため、下記メーカのサイトからダウンロードしてインストールしてみました。


FTDI Drivers

FTDI Driversは以下の「FTDI Chip」社のサイトからダウンロードすることができます。

VCP Drivers - FTDI

以下のようなページが表示されたら、矢印部の[Click]をクリックするとダウンロードすることができます。

FTDI USB Driver インストール
英文で「ARM64は対応していません」と書かれていましたが、試しにWindows版をインストールしてみたところ、使用できるようになりました。
FTDIドライバ対応デバイス(M5StickC や ATOM等)は、パソコンと直接USBケーブルで接続すると正しく動作できない場合があります。
この場合はハブ経由で接続すると正常に動作するようになります。

以下のように、デバイスマネージャの[ポート(COMとLPT)]を展開して表示される[USB Serial Port]を右クリックして表示されるメニューから[プロパティ]をクリックすると、下画像右側のようにドライバが正常に動作していることが確認できます。

FTDI USB Driver インストール

CP210x

CP210xは以下の「SILICON LABS」社のサイトからダウンロードできます。
すでにARM版Windowsに対応したドライバが準備されており、ARM64のファイルを選択してインストールできます。

CP210x USB to UART Bridge VCP Drivers - Silicon Labs
The CP210x USB to UART Bridge Virtual COM Port (VCP) drivers are required for device operation as a Virtual COM Port to facilitate host communication with CP210...

以下のようなページが表示されたら[CP210x Universal Windows Driver]をクリックするとダウンロードすることができます。

CP210x USB Driver インストール

特に指定しなければ「ダウンロードフォルダ」に「CP210x _Universal _Windows_D.zip」ダウンロードされているので、これを開くと以下のように「atm64」フォルダがあるのが確認できます。

CP210x USB Driver インストール
CP210x _Universal _Windows_D.zip」フォルダは圧縮ファイルのため、右クリックから[全て展開]をクリックして解凍しておきましょう。

インストーラーはないため、インストールは以下のように手動で行う必要があります。

デバイスマネージャの起動方法

まずは、上画像のように[ウインドウズアイコン]を右クリックして表示されるメニューから[デバイスマネージャー]をクリックします。

CP210x USB Driver インストール

デバイスマネージャが起動したら[ポート(COMとLPT)]を展開すると接続しているデバイスが表示されます。上画像は正常に接続された後ですが、最初はエラー状態(「!」が表示)になっているはずです。

エラー状態のデバイスを右クリックすると以下のようにメニューが表示されるため、[ドライバの更新]をクリックします。

ドライバーの更新方法

以下のようなウインドウが表示されたら[→コンピューターを参照してドライバーを検索]をクリックします。

ドライバーの更新方法

下画像左のように表示されたら[参照]をクリックし、下画像右のように「ダウンロードフォルダ」に解凍した「CDM2123620_Setup」フォルダを選択して[OK]ボタンを押します。

CP210x USB Driver インストール

以下のようにドライバの場所の設定に間違いがなければ[次へ]をクリックするとインストールが始まります。

CP210x USB Driver インストール

私の環境では既にインストール済みのため以下のような表示ですが、最適なドライバーがインストールされたことが確認できると思います。

CP210x USB Driver インストール

以下のように、デバイスマネージャの[ポート(COMとLPT)]を展開して表示される[Silicon Labs CP210x〜]を右クリックして表示されるメニューから[プロパティ]をクリックすると、下画像右側のようにドライバが正常に動作していることが確認できます。

CP210x USB Driver インストール

CH9102

CH9102については、別途専用のドライバをインストールすることなく使用できました。

デバイスマネージャで確認すると「Microsoft」のドライバが使用されています。
最初は使用できない場合でも「ドライバーの更新」や「Windows Update」等で使用できるようになると思います。

以下のように、デバイスマネージャの[ポート(COMとLPT)]を展開して表示される[USB シリアルデバイス]を右クリックして表示されるメニューから[プロパティ]をクリックすると、下画像右側のようにドライバが正常に動作していることが確認できます。

CH9102 USB Driver インストール

5.M5Stack系の書き込み

「M5Stack」系デバイスの書き込みは、USBドライバーさえ設定できれば特に問題ないと思いますが、今回動作確認する中で他の問題も色々あって書けなかったりしたので、実際に動作確認した結果を順次紹介していきます。

・サンプルプログラム

「サンプルプログラム」については機種ごとに入出力端子や機能が異なるため、以下から各デバイスごとに過去に紹介したものを使用しています。それぞれのリンク先にてご確認ください。

・書き込み、動作確認済機種一覧


M5Stack Basic V2.6 / M5Stack Fire

特に問題なく書き込みできるはずですが、「ArduinoIDE」のバージョンと、「ボード情報のM5Stack」のバージョンによって以下のエラーが発生しました。

ArduinoIDE M5Stackバージョンエラー

2つのエラーが発生していますが、1つ目は作業フォルダに日本語が含まれていてUTF-8で変換できないためエラーになっています。

これは以下のように[ファイル]→[基本設定]で[スケッチブックの場所]に日本語を含まない場所を指定すれば解決できます。

ArduinoIDE 基本設定

もう1つのエラーはヘッダーファイル「rom/miniz.h」が存在しないというものです。
実際にはボードの最新バージョンで名前が変わってしまったために発生しています。

これの解決方法は以下のように、ボードM5Stackのバージョンを「2.1.4」に変更してインストールし直すことです。

ArduinoIDE ボード情報のインストール
1つ目のエラーは文字化けが原因でしたが、これについてもボードM5Stackのバージョンを「2.1.4」に変えるだけで解決できます。しかし、今後のために日本語を含まない作業フォルダで作業するように変更しておきましょう。

書き込んだプログラムは「Basic」と「Fire」で同じで、以下リンクで公開しています。

M5Stack Basicの使い方、端子配列、サンプルプログラムで詳しく紹介
基本仕様、端子配列、サンプルプログラムで「Lチカ」やアナログ入力(ADC)、アナログ出力(DAC)、シリアル通信(UART)、液晶表示、バッテリー残量表示等の基本的な動作まで詳しく紹介します。

M5StickC Plus/M5StickC Plus2

M5StickC Plus」はUSBドライバが「FTDIドライバ」のため、パソコンとUSBケーブルで直接接続すると書き込みエラーになりました。ハブ経由で書き込むと問題なく書き込めて動作確認できました。

書き込んだプログラムは以下リンクで公開しています。

M5StickC Plusの使い方、初期設定、サンプルプログラム、M5StickCとの違い等を詳しく紹介
M5StickC PlusをArduino IDEやPlatformIOで使うための初期設定やサンプルプログラムでの動作確認の方法です。ビジュアルプログラミングのUiFlowの初期設定についても紹介します。

M5StickC Plus2」は特に問題なく書き込みと動作確認できました。(USBケーブル直接接続)

書き込んだプログラムは以下リンクで公開しています。

M5StickC Plus2の使い方、初期設定、旧モデルとの違い等サンプルプログラムで詳しく紹介
M5StickCの最新版M5StickC Plus2について、旧モデルとの違いを確認しながら、初期設定や端子配列、機能、使い方をサンプルプログラムで詳しく紹介します。

M5CORE2

M5CORE2」は特に問題なく書き込みと動作確認できました。(USBケーブル直接接続)

書き込んだプログラムは以下リンクで公開しています。

M5Stackの振動センサで3軸加速度モニター(グラフ表示)
CORE2(GRAY可)を使用して3軸(X ,Y ,Z)の振動の大きさ(加速度)を液晶画面でグラフ表示できる加速度モニターです。ジャイロや角度についてもArduinoIDEのシリアルプロッタでモニタしながら紹介します。

ATOM Lite

ATOM Lite」はUSBドライバが「FTDIドライバ」のため、パソコンとUSBケーブルで直接接続すると書き込みエラーになりました。ハブ経由で書き込むと問題なく書き込めて動作確認できました。

書き込んだプログラムは以下リンクで公開しています。

ATOM LITE の初期設定。プログラミング初心者におすすめ
Platform IOを使用した ATOM LITE の初期設定です。ファイルを作成、必要なライブラリの準備、初期設定方法を紹介。実際に「Lチカ」プログラムを「コピペ」で書き込み動作確認まで行います。

6.Raspberry Pi Pico系の書き込み

確認中・・・確認出来次第更新していきます。

開発環境「Thonny」は問題なくインストールできました。
各デバイスの動作確認には、また「SSL認証エラー」の問題が出たため、以下リンクで紹介しているように解決すれば使用可能と思います。

ラズパイPicoの使い方 MicroPython&開発環境Thonny、SSLエラーの対処方法も紹介
Raspberry Pi Picoので開発環境Thonnyを使用した「Python(MicroPython)」でのプログラミング方法について初期設定からパッケージ(ライブラリ)の追加、動作確認の方法まで詳しく紹介します。

・サンプルプログラム

準備中・・・

・書き込み、動作確認済機種一覧

準備中・・・

7.まとめ

「SnapDragon X Plus」搭載の「Surface Pro 12」を使用して「ARM版Windows」環境で「M5Stack」や「Raspberry Pi Pico」が問題なく動作できるかを確認していきました。

Windows10のサポート終了が10月14日と迫っており、パソコンの買い換えを検討していましたが、どうせ買うなら「AIパソコン」、Windowsなら「Copilot+PC」ということで、安価で省電力な「Surface Pro 12」を選定しました。

この価格(キーボードとセットで税込19万円[512GB]で購入)で「Copilot+PC」はお値打ちでしたが、「SoC」が「SnapDragon」で「ARM版Windows」ということで不安を感じながらも好奇心の方が勝ち購入を決定!今のところは今まで通りの環境で使用することができそうです。

「ARM版Windows」でも「エミュレータ」の性能が上がってきているようで、今では多くのアプリに対応しているようです。

ドライバの対応はまだ遅れているようですが、順次対応してくると思います。

今回つまづいたのは「ARM」への対応というより、「Surface」の問題かもしれませんが、USB Type-Cの変換コネクタを使用したり、USBケーブルで直接デバイスと接続すると動かなかったことです。

これに関してはハブを経由して接続するだけで解決できたので、USB接続したデバイスを認識しなかったり、動作しない場合はアプリの対応やドライバを疑うのではなく、まずハブを使用して動作確認してみてください。

まだ確認できていない環境やデバイスはありますが、他も問題なく動作できそうな印象です。
確認出来次第順次追記していきます。

興味が先行して購入した「Surface Pro 12」ですが、性能や操作性については何の不自由もなく、いい所ばかりでかなり快適に使用できています。心配だった「ARM版Windows」も、何だか新鮮で色々試すのも楽しいし♪結果、私の必要な環境では問題なく使用できて買って正解でした。

コメント

タイトルとURLをコピーしました