電流とは?「電流」の動きは「電子」の動き

電流とは?「電流」の動きは「電子」の動き

前回は電気とは何か?について電気を水に例えて簡易的に紹介しました。

前回の内容についての詳細は以下のリンクになります。

電気とは?「電圧」と「電流」の関係
身近にある「電気」について、電気とは一体何でしょう?ここでは電気を知る上で欠かせない「電圧」と「電流」の関係について簡単にわかりやすく紹介していきます。

電気とは何か?について、前回は「電圧」によって発生する「電流」と表現しました。

それでは電流とは何でしょう?今回はこの電流について詳しく紹介していきます。

簡単に説明する方法はいろいろあるかと思いますが、正しく知ってほしいので、ちょっと難しい内容になるかもしれませんが私なりに図を交えて順番に詳しく紹介できればと思います。

電流の紹介ですが、最後には金属の正体についても触れていますので順番に最後まで読み進めていただければと思います。

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1.電流の流れる方向は?

前回の「電気とは?」で「電圧」があるところに「電流」が発生し、「電流」は「電圧」が高いところから低いところへ流れていくと紹介しました。

実際に乾電池を使って金属(銅の塊)に電流を流すとどうなるでしょう?下画像で見ていきます。

電流とは?「電流」の動きは「電子」の動き

乾電池の+側(電圧が高い方)から-側(電圧の低い方)に向かって「銅の塊」の中を電流が流れてLEDランプが点灯します。

電流は電圧の+から-に向かって流れます。
電圧の+と-をつなぐ時は、直接つなぐと危険なのでLEDランプをつないで光らせる等しましょう。この辺りは「抵抗」の話になるので、また詳しく紹介したいと思います。
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2.電流を知るには金属を知ろう

ここからは少し難しい話・・・誰もが一度は通ってきた「原子」について思い出しましょう。
電流の流れは原子の中の電子の動きなのでここは避けては通れません。

原子の中でも電流が流れやすい「金属原子」について、今回はその中でも「銅原子」について下画像で詳しく紹介します。

電流とは?「電流」の動きは「電子」の動き

先ほど電流を流した「銅の塊」は上画像の「銅原子が無数に集まったもの」です。
中心に銅の原子核があり、これは+の性質を持っています。その周りにはーの性質を持った電子が原子核に引き付けられて集まっているため上の左画像のような構造で表現されます。

よく見ると一番外側に1個だけ電子があります。これを「価電子」といいます。
「-」がいっぱいあって見にくいのでこの「価電子」に着目して、上の右画像のように簡易表記します。

簡易表記した「銅原子」を詳しく見てみましょう。

電流とは?「電流」の動きは「電子」の動き

「銅原子」の一番外側にある「価電子」は+の性質を持つ原子核から引き付けられる力がとても弱いため、上の左画像のように簡単に「銅原子」から離れることができます。
この離れた「価電子」を「自由電子」といいます。
しかし、このままでは銅原子に穴が開いた状態のため上の右画像のように近くにある電子を引き付けて「銅原子」に戻ります。

このような性質は「金属原子」に見られます。「電子」の動きが「電流」の動きに影響しているため「自由電子」になる「価電子」をもつ「金属原子」には電流が流れやすいのです。
「金属原子」には他にも「金」や「銀」「アルミ」「鉄」等があり、同じような「価電子」をもつ構造でどれも電流が流れやすいです。
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3.金属の中の電子の動き

冒頭で「銅の塊」で電流の流れを確認しました。「銅の塊」とは「銅原子」が下画像のように集まったもので、これを銅の「金属結晶」といいます。

この状態は「銅原子」がお互いの「価電子」を「自由電子」として手放したり受け取ったりしながら安定な位置を保ってつながっている状態です。

電流とは?「電流」の動きは「電子」の動き

もっとわかりやすく表現すると下画像のように、銅の原子核の周りを文字通り自由に「自由電子」が動き回っている状態が「金属結晶」です。

電流とは?「電流」の動きは「電子」の動き

この「金属結晶」に電圧を与えてみましょう。

電流とは?「電流」の動きは「電子」の動き

電圧がかかると動き回っていた「自由電子」は電圧の+側へ引き付けられ移動していきます。
「金属結晶」から電子が失われると、電圧の-側から電子が供給されます。

これが連続的に繰り返されることで電子は移動し続けます。
ここまできて疑問を感じた方は大正解です。電子は-から+に動いていますが、冒頭では電流は+から-へ流れると説明したので逆の動きになります。

これについては次のような昔話によるものです。

4.電子の動きと電流の流れる方向は逆

大昔、まだ電子についてよくわかっていなかった時代、+側から何かが出ていると発見した人がいて、それを電流と呼ぶようになりました。

その後に電子発見され、それが-から+へ移動していることが確認されましたが、その頃には電流の流れは+から-へ流れるということが常識になっていたため、そのまま現代に至ります。
このため電流の流れと電子の動きは逆であるというのが今の常識になっています。

それでは+からは何が出ていたのでしょう?

上の「金属結晶」の画像の-側を拡大すると「自由電子」が抜けた穴があります。これに注目してみましょう。

下画像の「注目!」部分の電子が抜けた穴は電子が抜けた後は電子を引き付けようとします。これはこの穴が+の性質を持っているためです。

電流とは?「電流」の動きは「電子」の動き

電子が抜けた穴を+として、下画像の①~⑥のように電子が移動していく様子を順番に見てみましょう。
電子が左へ移動していくということは、+の性質をもった電子の抜けた穴が右へ移動していくことになります。
大昔に電流の流れを発見した人はこの電子の抜けた穴の動きを見ていたのです。

電流とは?「電流」の動きは「電子」の動き

大昔の大間違いですが、普通に考えると+側から-側へ流れるというのはイメージしやすいですし、電流の流れを水の流れに例えることもこの間違いがなければできなかったことです。

少し混乱させてしまう内容になったかもしれませんが、電気の流れは電子の動きそのものなのでしっかりと理解しつつも、電流は電圧が高い方から低い方へ流れると覚えておきましょう。

5.おまけ:金属についても知っておこう

せっかく「金属結晶」について紹介したので、金属についても少し触れたいと思います。
再度「金属結晶」を画像で確認してみましょう。

「金属結晶」は下画像のように電子の海の中に浮かぶ「原子核」をその周りで自由に動き回る電子がつなぎとめている状態です。

電流とは?「電流」の動きは「電子」の動き

このような構造をしているので、外部から力が加わって変形しても周りを動き回る「自由電子」が繋ぎとめているため簡単に切れたり割れたりしません。
自由電子が無く、お互いの電子を同じような位置関係で固定して共有している構造(共有結合という)の場合はこのような性質にはならず切れたり割れたりします。

このように金属が伸びる性質を延性、たたいて薄く広がる性質を展性といいます。

また、ここまでくると当たり前の話になってきますが、金属が熱を伝えやすいのも「自由電子」があるためです。
金属表面の熱が「自由電子」に伝わり内部を動き回るため金属は熱を伝えやすいのです。

最後に金属の色について、金属の色を絵具で表現するのは困難です。これは金属の色は色ではなく光の反射だからです。
なぜ光の反射が起きるかというと、これも「自由電子」によるものです。
電子は光を反射します。「自由電子」は金属内部だけではなく表面も動き回っているため表面の電子が光を反射します。

全ての光を反射するわけではなく、金属によって電子の密度が違うので、一部の光は吸収されて残りの光が反射するため、それがその金属の色になります。

6.まとめ

電流について紹介しました。電流の正体は電子の動きです。電子はあらゆる物質の中にありますが金属には動きやすい「自由電子」を持つため電流が流れやすいです。

「自由電子」は電圧の+側に引き付けられて移動していきますが、電子の動きと電流の流れる方向は逆になります。

「電流」は「電圧」が高いところから低いところへ流れると覚えておきましょう。

次回は「抵抗」について簡単にわかりやすく紹介していきます。

抵抗とは?「オームの法則」の簡単な覚え方
抵抗について、簡単にわかりやすく紹介します。オームの法則による抵抗の計算方法や、抵抗を決める抵抗率の一覧表から物質ごとの抵抗の違いも確認してみましょう。

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